2024年10月

  • 「紅葉狩り伊勢うどん」

    先日ラジオから童謡の「ちいさい秋みつけた」が流れてきて、思わず聴き入ってしまいました。改めてじっくり耳を傾けると、なんて良い曲なんでしょう…。この曲を聴けば、誰もが幼いころに触れた秋の匂いや色を思い出すんじゃないでしょうか。

    最近は秋が短いけど、それでも探せば秋ならではの楽しみはまだまだたくさんありますね。まずは「待ってました!」の実りの秋。私も毎日、新米をホクホクといただいては「生きててよかった」と幸せを噛みしめております。

    空の色ひとつとっても突き抜けるような青から夕暮れの淡いピンクまで「こんなのタダで見せてもらえるなんてラッキー」(←毎度ケチくさい)な美しさだし、木々は色を変えて鮮やかに街を彩ってくれます。銀杏の黄金色なんて思うだけで胸がすくようです。

    …というわけで、やっと来ました(笑)、今回は「紅葉狩り伊勢うどん」の絵をご紹介します。
    「ちいさい秋みつけた」のひっそりした秋の趣とは違って、こちらは賑やかでワイワイ楽しい秋です。



    
「紅葉狩り」は、8月のブログに載せた「お花見伊勢うどん」の続編として描きました。「お花見伊勢うどん」はもともと展覧会のために描いた絵でしたが、「伊勢うどん友の会」がポストカードにしてくださり、「春があるなら秋も」と声をかけていただきました。
    *facebookグループの「伊勢うどん友の会」はこちらです→「伊勢うどん友の会」

    秋は、春で登場した動物を何匹か再登場させました。「春は一人旅で来ていたきつねのお嬢さんは、伊勢が気に入り移住した」、「うさぎのお母さんは伊勢に友達ができて、その友達に会いに半年ぶりに遊びに来た」なんていうストーリーも考えたりして。

    春と同じく、ピクニックのお弁当にも伊勢名物を取り入れました。猫の前のいわしの丸干し、それと、うさぎが乾杯してるのは伊勢のクラフトビールです。

    そしてこの絵を眺めながら、「ちいさい秋みつけた」との共通点をひとつだけ発見。絵にも歌にも鳥の「もず」が登場しています。描くときに「ちいさい秋」はまったく意識していなかったので、たまたまですが…。

    秋を楽しみましょう!

  • 個展から2年

    縁あってお声がけいただき、ギャラリー八重洲で個展を開催してからちょうど2年経ちました。「そうか、あれがもう⚪︎年前か」って、iPhoneの写真のお知らせでしみじみしたりびっくりしたりすることもしばしばです。

    2年前の個展は急に決まったこともあり、それまでに描きためた作品を集めて展示しました。新作はDM葉書のために描き下ろした1枚だけでしたが、そんなに頻繁に個展をするわけでもないので、私の絵を初めて見るという方もたくさん来てくださり、ありがたかったです。

    こちらがその時のDM葉書と、チラシです。個展タイトルの「somewhere around here」どおりに、「ここみたいなどこか、ここではないどこか」の風景画を展示しました。


    葉書の絵はベトナムで撮った写真がもとになっています。チラシはA4サイズの両面印刷で、折り畳んだ状態から開いていくと、こんな感じになっています。少し流れというか、ストーリーが感じられるような展開になるといいなと思って作りました。こちら、ホームページのトップにもなっている絵です。

    さーて、そろそろ新しい風景の絵も描かなきゃですね。

  • 《 お仕事アーカイブ #6 》 「ボンマルシェのつぶやき」

    先週のサザエさんのイラストについて「長谷川町子さん本人が描いたみたいでびっくり」との感想をいただきました。やったー、嬉しいです。これを描いた時は、サザエさんや「うちあけ話」をめくって、町子先生絵柄を研究(っていうと大げさだけど)しましたっけ。

    で、サザエさんの絵を描くきっかけとなった「ボンマルシェのつぶやき」を今回はご紹介します。

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    「ボンマルシェのつぶやき」は、朝日新聞の折込ページ「Bon Marche ボンマルシェ」に、2010年4月から2015年の6年間に渡って連載されました。作家の関千里さんが文章を書き、それに私がイラストをつけました。月1回のペースだったので全64回。

記念すべき第一回がこちらです。(おとなりがマロンさんのレシピページですね。毎回おいしそうでした。)

    タイトルに「つぶやき」とあるように、関さんのお話は、人生の曲がり角にさしかかったお年頃世代…つまり「私たち世代」の日常的な「あるある!」を鮮やかに切り取ったエッセイだったので「そうそう、そうなのよ〜!」と膝を打つ気持ちで毎回イラストを考えていました。私と関さんは同世代なので、そのあたりの感覚は共有しやすかったです。

    「ギャラリー」のページにも、いくつか掲載していますが、そこには無いイラストもここでいくつかアップしますね。
    *ギャラリーページはこちらからご覧ください → 「ボンマルシェのつぶやき」

    (上段イラストはギャルママを描いています。ただいま朝ドラで絶賛登場中の「ギャル」、2012年当時もギャルママは元気です。)

    連載期間中には東日本大震災もあり、そちらに寄せた回もありました。6年間って思い返せば長いですね。それでも「もう少し、2人で作り続けたいね」という思いから、連載終了後2年くらいの間を空けて、こんどはブログという形で「つぶやき」を続けることにしました。題して「ちーずのつぶやき」。「ちさと」と「ちあき」の2人の「ちー」がつぶやく、という意味のタイトルです。こちらは週に1回の更新で、これまでの朝日新聞の連載と、新しく制作したものと、交互にアップしていきました。

    ブログにアップする新作から、イラストに私の一言も添えることにしました。言ってみれば関さんと私との間の交換日記みたいな感じでしょうか(交換日記というのも今は通じないか)。

    そんなわけで「ちーずのつぶやき」には、朝日新聞連載ぶん全部と、新作が56回ぶん全部読めるようになっています。ぜひぜひブログで続きを見ていただけたら嬉しいです!上のイラスト6点はどんなお話からできたものか?答え合わせしてみてください。

    *ブログ「ちーずのつぶやき」はこちらからご覧ください → 「ちーずのつぶやき」

  • 「サザエさん」とわたし

    4コマ漫画の「サザエさん」との出会いはいつだったか…子供のころ、近所の本屋さんで手に取って、買ってもらったのが最初だったと記憶しています。たぶん小学2年生か3年生?それくらいのころじゃなかろうか。

    「サザエさん」はすでにテレビのアニメで見てたから「えー、テレビだけじゃなくてこんな漫画もあるんだ!」とサザエさんにワカメ、カツオの描かれたピンクの表紙の本を手に小さく興奮しました。

    本を開くと、中は色あざやかな絵本とは違って線画だけで、その線の色がページが進むにつれグリーンからマゼンダ、ネイビーに変わるのも、1ページに1作のレイアウトも「なんだか大人っぽいな」と感じて、手に入れたのがすごく嬉しかったのも覚えています。姉妹社という社名もカッコいいなァと思ってました。それから、少しずつ本が増えていくと、何冊も並べて表紙を眺めては、ひとりで「この中で私がいちばん好きな絵はどーれだ?」なんてやってました。こんな調子ですから「大きくなったらサザエさんみたいな漫画を描く人になる!」と、当然のごとく言っておりました、はい。

    …と、ここまでですでにコッテリと「サザエさん大好き、だいすき!」の想いを溢れるがままに書いていますが、そうです、サザエさん大好きです。

    あぁ、それなのに大人になると寂しいことに、つねにひもとくことも無くなってしまったのですが、日々フトしたときに「あ、今の私はサザエさんのあの漫画と同じだな」などと思うことはけっこう頻繁にあるのです。私の中にはしっかりサザエさんが住んでいる。

    で、昨日はコンビニで週刊誌スタイルで販売されている「サザエさん」がたまたま目に入ったので買い求め、久しぶりにサザエさんの世界に浸りました。やっぱりめちゃくちゃ面白いです。声を出して笑ってしまうこともたびたびありました。

    

面白いのはもちろん、私がとくにサザエさんを好きだと思うところは、漫画の中の小道具や背景が細かく描写されているところです。直接、話とは関係ない部分で…たとえば、波平に文句を言いながらお茶を淹れているフネの手元のお茶道具とか。「あー、うちの急須と似てる」なんて思いながら見るのが楽しいんです。これは「サザエさんうちあけ話」でも長谷川町子が「私はこまごま描き込むので、原稿を描くのに時間がかかる」と言ってますね。

    *表紙カバーも無くなってだいぶくたびれてしまった「うちあけ話」。今読んでも何回読んでもおもしろい*

    2016年に板橋区立美術館で開催された「よりぬき長谷川町子展」は見応えたっぷりでしたが、町子センセイがたしか中学生くらいのころに描いた絵なども展示されていました。そこですでにサザエさんに通じる魅力は花開いていて、町並やそこで暮らす人々の日常が細かく描写されていて唸りました。観察眼もすごいし、それを描く力もすごい、天才だったんだな…。それに、描いていること自体を心から楽しんでる感じも伝わってくる。町子先生、ブラボー!

    …と、ここで自分のことを持ち出すのは非常に気が引けますが、私もカットイラストを描くときには背景を入れることで、その場の気配などが伝わるといいな〜と意識したりしています。これは「サザエさんの教え」(?)が形になった点のひとつかな。

    長谷川町子はすごい作家である一方、繰り返し読んだ「サザエさんうちあけ話」には、描き手としての本心や葛藤などが飾らずに語られています。なかなか思うように描けないこともある、長期のスランプも定期的にある…などなど。こちらには、これまたおこがましいけど、親近感を感じずにはいられません。

    「これからも、ずっと心にサザエさん」。そうつぶやくと、なんだかすごくほっとします。「サザエさん」は私には変わらないよりどころ、お守りみたいな存在だと改めて思いました。

    *こちらは、ブログ「ちーずのつぶやき」に掲載したイラストです。「ちーずのつぶやき」は作家の関千里さんが
    文章を、私がイラスト+ひとことを描いて、作ったブログです。ぜひ下記リンクからご覧ください!*
    【チーズのつぶやき】