2025年

  • 短歌を詠んでみたーその2

    5月の個展で、絵に合わせて詠んだ短歌をまとめて紹介しています。前回に続き今回は残り半分。

    まずはブルックリンのカフェを描いたこちらから。

    《 ここに来れば いつものわたしに戻るから そっと開いた この本とともに 》

    ブルックリンは20年以上前、ルームシェアをして滞在したことがあり、今も変わらず親しみを感じる街です。そんな異国の街でもトーキョーでも、コーヒーと本のある場所の居心地の良さは格別、何者にも変え難いです。

    前回のルート66の旅行もブルックリンも20年くらい前って、改めて驚きます。新しい空気を吸いに行きたいけど、円安、物価高にがっくり、なかなかヒョイとひとっ飛び…というわけにはいきません。
    絵はどこに居て何を見ても描けるのですが...でも、やっぱり外国の色や匂いに浸りたいという気持ちはいつもフツフツと自分の中で静かに沸いています。

    つづいてハワイ。

    《 「これいくら?」買う気もないのに聞いてみる ロコを気取って チャイナタウンで 》

    初めてハワイに行ったとき、ホノルルのチャイナタウンのエキゾチックな、でものんびりした雰囲気はとても印象に残りました。ロコの人たちが普通に買い物する食料品店の店先です。今はもう、再開発とかであのころの面影は無いのかなぁ。

    続けてこれもホノルルチャイナタウン。

    《 レイを編む その傍らで出番待つ 姿愛しい ホノルルの花 》

    ダウンタウンの花屋の店先では、おばちゃんたちがせっせとレイを編む姿も見かけました。色鮮やかな花たちは、これからレイになるのか花飾りになるのか…

    さて、旅から日常に戻ってこちら。

    《 ひと休み コーヒー淹れてまた描いて 知らず知らずに 日々は重なり 》

    個展をやらせていただいたサンブンノイチギャラリー主宰のBLACKBEANSさんから、はじめてイラストの依頼があったのが21年前。コーヒーのパッケージのためのイラストでした。その中の一枚がこちら。

    最後に、冬の景色を。

    《 さくさくと 雪踏みしめてあの丘こえて 火照る頬染め髪なびかせて 》

    子供のころは雪遊びもそり遊び(草そり専門でしたが)にも夢中になりました。「全身全霊で遊ぶ!」そんな時間を持ち続けたいなと切に思う今日この頃です。

    昔のことも楽しく思い出すけど、これからやりたいこともたくさんあるし「最善のことは未来にある」の言葉を信じて、遊んだり転んだりしながらこの先もやっていきたいと思います。

    なぜか最終回っぽくなっちゃいましたが(笑)もちろんブログはこれからも続きます。っていうかまだ始まったばかりですね。引き続きよろしくお願いします。

  • 短歌を詠んでみた

    5月の個展では、絵に合わせて短歌を詠みました。「まだブログに載せてなかった…!」と、遅まきながら2回に分けて投稿します。

    まずは旅の絵、アメリカのルート66沿いのモーテルの絵から。
    (絵のすぐ下に、絵に合わせて詠んだ短歌があります)

    《 時を計る 動くものなし ロードサイド 風にたなびく 雲さえもなく 》

    2007年のアメリカ旅行だから、もう18年前!個展をやらせてもらったサンブンノイチギャラリーを主宰するデザイン事務所、BLACK BEANSさんの社員旅行に同行させてもらって、念願のルート66を辿る旅ができました。その旅行の風景を描いたなかの一枚です。(同シリーズの絵はギャラリーページからご覧いただけます)しーんと時間が止まってしまったような、あの静かで怖いくらい清々とした風景はくっきりと目に焼き付いています。

    続いて、こんどはベトナムの旅の絵。4枚連続でまいりましょう。

    《 この角か もひとつ先のあの角か 曲った先に 待つパラダイス 》

    ベトナム中部の町、ホイアンを散歩して出会った風景です。そぞろ歩きで出会う場所は一期一会、そう思うとどうってことない普通の町角の眺めも、特別なものに思えてきます。

    《 あの唄が 聞こえてきそう 陽だまりに 時空を超えて 私はここに 》

    こちらもホイアン。ホイアンは穏やかで懐かしい空気に満ちたところでした。散歩すれば、町角で子供のころの自分に出会えそう。聞こえてくるのは…さぁ、どんな唄でしょう。

    《 子どもらの 声は遠くに カオラウと ひそり向き合う 遅い昼食 》

    ホイアン(ベトナム)でしか食べられない「カオラウ」という麺料理があります。日本の伊勢うどんがルーツになっていると言われ、その独特な味わいにすっかりハマりました。滞在中に何回か足を運んだレストランは、ランチタイムは地元の家族連れで大賑わい。その喧騒の中で食べても、混雑を外した時間に一人で食べても、どちらもおいしいカオラウでした。

    ホイアンからハノイへ。

    《  赤にブルー 淡いグリーンに濡れた土 色に恋したハノイの通り 》

    旅先では必ず印象的な色に出会います。はじめてのベトナムで訪れたハノイの町では、壁のペパーミントグリーンがその筆頭でした。霧雨やスコールも多く、しっとりした空気の中で冴えざえと見えた色たち。また会いに行きたいです。

    この展覧会で、このうように絵のタイトルがわりに詠んだのが、私の短歌デビューです。(中学の国語の授業で作ったことはあったけど)何事も「まずは概略を理解して」と考える私、「短歌入門」みたいな本を何冊か読んだら、かえっておそれ多く身構えてしまいました。「難しい!ぜったい無理!」と尻込みしましたが、ギャラリーの黒川さんがご自分の写真の絵に短歌を詠んでくれたので、ここは私も思い切って!とチャレンジしました。
    サンブンノイチギャラリーのウェブサイトには黒川さん作の短歌も掲載されています。)


    前半最後は今が季節のダリアを。

    《 夕闇に ぽっとともした 灯のような 窓にたゆたう 君のくれない 》

    ダリアはいちばん好きな花です。ダリア様と言いたいくらい気位が高そうに見えるときもあれば、寂しそうに見えるときも。そんなさまざまな表情を楽しみながらの同居は短い間だけど、確実に友情が芽生えます。花は楽しいですね。

    では、後半はまた次回。



  • 「ラテン音楽入門」のイラストを担当しました

    「ゼロから分かる! 聴けば聴くほど、楽しくなる ラテン音楽入門」(世界文化社刊)の表紙と本文イラストを担当させてもらいました。
    去年、同シリーズの「ジャズ入門」を担当し、今回は「ラテン音楽」です。

    ラテンに心躍る瞬間は、たぶん子供のころから無自覚に体験していたのでは?と思います。幼稚園で張り切って歌ってた「♪バナナン、バナナン、バナナ♪」の曲(「とんでったバナナ」という曲名でした)も、ちょっとラテンぽい(かな?)し、「ザ・ピーナッツ」の「南京豆売り」も聴くたび、わくわくしました(もちろんリアタイで聴いたわけじゃないですけど)。

    「日本人のDNAにはラテンが組み込まれてる」なんて言い方もよく聞くし、ラテン風味の歌謡曲は数え切れないし、とっても身近なラテン。その豊かで幅広い音楽の海がこの本の中には広がっています。

    本文ではラテンミュージシャンたちの似顔絵もたくさん描いています。誰もが個性的で濃い!これは描いていてめっちゃ楽しかったです。

    「映画で旅するラテン音楽の世界」のページでは「ブエナ・ビスタ・ソシアル・クラブ」もピックアップされています。私はジェニファーロペスが「テハーノの女王」と呼ばれたセレナを演じた「セレナ」とい映画が見たくなりました。

    「ジャズ入門」と同じく、Spotifyのプレイリストもついています。ぜひ本を片手にラテンの世界を楽しんでいただけたらと思います。

  • 個展「Ordinary Time」で描いた絵のこと

    久しぶりのブログ投稿になってしまいました。

    5月末からの個展、6月末のサロンイベントと展示が続き、ふだんとはかなり違う時間の過ごし方が続きました。新しいチャレンジ続きでワクワクで過ごした時間(イラストレーターにとってはまさに「ハレ」の時間ですね。ありがたし)から、ようやく地上に戻りつつあります。
    ハレの時間を埋めるように、ブログも引き続き更新してまいります。

    まずは5月の個展のことから。

    個展のオファーをいただいてから、開催日まで約2ヶ月でした。準備期間はそんなに無い…それなら「いつもと違うことを」と思いました。
    これまで展示するタブローに関しては「私が描きたい風景」を描くのがいちばん!と疑わずにやってきましたが、そうだ、今回は「私じゃない誰かさんの見た風景」を描くのもおもしろいかも!

    そこで、開催会場の「サンブンノイチギャラリー」主宰の黒川さんの好きな風景の写真をお借りして描くことにしたのです。黒川さんはたくさん海外を旅行していらしゃる、そこで出会った忘れられない風景は?と旅のエピソードも含めて取材し、2点を絵に仕上げました。

    「どうしてこの風景に出会ったのか」「どんなタイミングでこの場所に居たのか」「この風景のどこが特に好きか」などの話を聞いて、行ったことない場所を自分の頭の中に構築していく作業はとても面白かったです。もちろん、仕事でこのような作業には慣れていますが…よりパーソナルな事情を聞けることで、風景もよりクッキリ鮮やかに見えるようでした。

    そうして描いた絵はこちら。 対比できるように写真もいっしょに載せます。

    早朝、ミュンヘンに着いた電車の車窓から見た風景だそうです。展覧会で掲示した黒川さんのコメントをそのまま引用すると

    「フィレンツェで友人たちと別れ、一人で寝台列車に乗ってミュンヘンへ移動したことがあった。早朝に窓のカーテンを開けたとき、街並みを予想していた私の目に飛び込んできたのは、緑豊かなローカルな風景の中にある小さなサッカー場。まだ誰もいないグラウンドの中にプロを目指して練習する子たちの姿が浮かび上がり、思わずシャッターを切ったのでした。」

    いわば「草野球」ならぬ「草サッカー」のほのぼのした光景。それが伝わるように、写真には無かったサッカー場のラインを絵には入れました。それがちゃんと見えるように、写真よりも俯瞰した目線に調整しました。そして朝の空気が伝わるようにと意識しながら描きました。

    この絵を見た黒川さんが「これは、まさに私があの時見た風景ですね!」と言ってくださり、とても嬉しかったです。心の中でひそかにガッツポーズ(笑)

    もう1枚はこちら。

    モロッコにシャウエンという、至るところが青で埋め尽くされた町があるそうで、その町のプールです。
    黒川さんはホテルの部屋のからこのプールを見下ろして、写真を撮ったとのこと。
    楽しそうな家族と、「普通なら“青い”プールは珍しくないけれど、そのプールまでもシャウエンの青に染まっていて、それが印象的だった」というエピソードを生かせるように構図を考え、青に浸るような気持ちを絵に込めました。

    こうやって描いた2枚の絵はいずれも、自分がこの場にいたとしても、たぶん絵にしようとは思わないであろう風景を描いたものです。でも、描いてみるとすごく面白かったです。ひとの目を通して自分の頭の中に映し出される風景。これは今後、私の得意分野のひとつになりそうです。

  • 似顔絵描きます&リソグラフ展示販売のお知らせ

    この度、素敵なジュエリーブランド「Todos」さんの期間限定サロンイベント『Salon de Todos』に、イラストレーターとして参加させていただくことになりました。

    6月25日(火)から30日(月)まで、銀座の奥野ビルで開催されるスペシャルな空間で、皆さまとお会いできるのを楽しみにしています😊

    会場では、似顔絵のオーダーを承ります。その場で描くのではなく、お写真を撮らせていただくか、お気に入りのお写真をお持ちいただき(後日送っていただいてもOK)、ご要望をお伺いします。

    仕上げた似顔絵は後日、データまたは原画でお渡しいたします。

    似顔絵は、普段使いしやすいデータでのお渡しはもちろん、原画やプリントを額装して飾っていただくことも可能です。オプションで名刺や一筆箋に仕立てるご注文もお受けします。

    会場には、額装の見本や、名刺や一筆箋のサンプルもご用意しますので、ぜひ実物をご覧くださいね。

    会場の一角では、独特の風合いが魅力のリソグラフ作品も展示・販売します。今回は線画イラストをリソグラフで制作しました。先日、工房で刷ってきましたが、レトロで温かみのあるリソグラフの魅力を、ぜひ会場で感じていただけたら嬉しいです。

    私も今からイベントの1週間が本当に楽しみで、現在も絶賛制作中です!この先も随時、SNSでお知らせしていきますので、ぜひチェックしてくださいね。

    お気軽にお立ち寄りいただけたら嬉しいです。

    【Salon de Todos】

    期間: 2025年6月25日(火)〜30日(月)
    場所: 奥野ビル 東京都中央区銀座1-9-8 奥野ビル607

    Todos ウェブサイト: https://todos.tokyo/archives/7359
    Todos インスタグラム: https://www.instagram.com/todos.tokyo…

  • 【個展とワークショップのお知らせ】

    5月30日より、新しくオープンする「サンブンノイチギャラリー」にて個展を開催します。
    新しい場所、新しいことに参加できるワクワクを感じながら、ただいま絶賛制作中です。

    5/30(金) 5/31(土) 6/1(日) 6/6(金) 6/7(土) 6/8(日) 12時-19時(最終日のみ17時まで)
    サンブンノイチギャラリー 渋谷区神宮前6丁目24−2 原宿芳村ビル3階 google map

    *サンブンノイチギャラリーのサイトはこちらです。
    「サンブンノイチギャラリーHP

    *絵を描くワークショップを開催します*

    さて、新しいことのひとつとして、今回は個展期間中に「絵を描くワークショップ」を開催します。
    画材は会場にすべてご用意してあるので、手ぶらで絵を描きにきてください。
    年齢も問いません。
    内容は以下のとおりです。どうぞお気軽にご参加ください。
    参加希望の方は、あらかじめ田上宛にメールにてご連絡ください。
    *メールアドレスは 【mail@chiakitagami.com】です。

    ・お名前 
    ・電話番号
    ・参加希望日 
    ・参加人数 
    をお知らせください。

    ご質問、お問い合わせもこちらのメールにどうぞ。

    ・日時 6/1(日)、6/7(土) 両日とも13時〜15時
    ・会場 サンブンノイチギャラリー 〈神宮前6-24-2 原宿芳村ビル3F〉(田上千晶個展会場)
    ・定員 各回6名
    ・参加費 1500円(税込)
    *紙、画材代、額代を含みます。当日現金でお支払いください。
    ・持参するもの 描きたいモチーフの写真(無くてもOK)、エプロン(画材を使うので気になる方はご持参ください)

    A4かB5サイズの紙に、絵の具、パステル、色鉛筆、ペンなど会場に用意した画材の中から好きなものを使って1枚の絵を仕上げます。
    額もお渡ししますので、仕上げた絵は額に入れて、すぐに部屋に飾ることもできます。

    あなたの好きなもの、描きたいものを描いてください。

    たとえば、ペット、旅行で行った場所。かわいいケーキでも、大好きなあの人でも、自画像でも。描きたいものの写真があれば、それもぜひお持ちください。絵のタッチや画材選びのアドバイスをしますので、安心して進めていただけます。

    「とくに描きたいものは決まってないけど、絵を描いてみたい」という方も大歓迎。
    会場で、色や線で絵を描くことを楽しんでください!
    そのための画材選びやアイデア出しなどのアドバイス、手助けをさせていただきます。

    描いた絵はお部屋に飾ったり、SNSに投稿したり、いろいろ楽しめます。
    ご自分やペットのイラストを描いて、それをアイコンとして活用するのもいいですね。

    「絵は自信が無くて」「描いたことないし」という方も「やってみたら楽しい!」と感じていただけるワークショップです。ご参加お待ちしています♪

  • 《お仕事アーカイブ#10》小説挿絵(雑誌「ダ・ヴィンチ」より)

    今回もお仕事アーカイブ。過去の仕事の中からピックアップしてご紹介します。

    書籍情報を扱う雑誌「ダ・ヴィンチ」2014年7月号の「本VSカレー」特集内に掲載された読み切り小説「カレー失踪事件」(中島京子著)の挿絵です。カレーと本が絶妙にからみあうミステリーでした。

    カレーって、物語(小説、まんが、映画など)に登場するとものすごく美味しそうに感じます。カレー以外でも、全体のストーリーはすっかり忘れてるのに食べもの登場シーンだけは忘れられない、ってことはよくありますよね。

    そういう食べものって、特別な料理とか高価な食材とかじゃなく、すごく平凡でありきたりのものの場合が多い気がする。高級お寿司なんかより、カップヌードルを食べてる主人公のせいでお腹が空いて、うらやましくなったりしませんか?

    こちらの小説「カレー失踪事件」でも、カレーを作る描写がとてもおいしそう。イラストがそのイメージ作りの一助を担えていたら嬉しいです。



  • 《お仕事アーカイブ #9》J-WAVEタイムテーブル

    「お仕事アーカイブ」です。過去の仕事のなかから、今また見ていただきたいものをピックアップしてご紹介しています

    今回は小冊子のJ-WAVEのタイムテーブル。毎月、違うイラストレーターが「東京」の風景を描くことになっていました。贅沢ですね。私はすぐに床屋を描こう!と思いました。床屋が好きで、知らず知らず写真も撮っていたので。

    谷中の床屋と、うちの近所の床屋、両方の写真を見て組み合わせて描いています。入り口のあたりが谷中、建物全体はうちの近所、です。

    床屋が好きという人はけっこう多いんじゃないでしょうか。なんででしょうね、全体にちょっとレトロな雰囲気があるから?タイルや床の模様、椅子や小物も床屋ならではのものだし、そういう意匠が楽しいんですよね。

    ハワイのチャイナタウンでも床屋の写真を撮り、それを絵にしたのがこちらです。

    ついでに。NYはブルックリンの床屋さんの写真もご紹介します。
    「いい感じのバーバーショップ!」と外からぱぱっと数枚写真を撮ったところ、お店の人が表に出てきたので「うわっ、おこられる!」と思いきや、「どこから来たの?うちの店、いいでしょ?中に入ってもっと写真撮ってよ」とフレンドリーに言ってくださった。

    えー、いいんですかー?とお邪魔して、何枚か撮らせてもらいました。まだカメラはフィルムの時代でした。

    こちらがお店のオーナーさん。たしか、けっこうな高齢でしたが自慢げに「オレ、もう⚪︎⚪︎歳だけど、まだまだ!」みたいな感じで、頼んでもいないのにポーズを取ってくれました。思い出すとホノボノします。

    この床屋さんの写真から、仕事の絵に生かしたのがこちら(JR eastの広報誌のイラストです)。壁のグリーンと扇風機はベトナムの写真を参考に。NYからどこか暖かい異国(中南米かな)のイメージに変えました。

    そのベトナムでも、やはり目に入ったら写真を撮らずにはいられず。

    手元には他にも床屋の写真があります。これだけあるんだから、「床屋絵」もシリーズ化できそうです。描きたいものはたくさん。焦らずに描いていきます。

  • 《オリジナル作品アーカイブ #5》”チャイナタウン”

    先週に引き続き、「紹介しそびれた作品シリーズ」です。今回の1枚は、2005年の個展「Windward」のために描いた作品、「チャイナタウン」です。この個展も全くの新作は2枚くらいでした。その1枚がこちらです。

    ハワイのチャイナタウンで撮った写真がもとになっています。どこの国、地域でもチャイナタウンは素通りできない場所なんですが、ホノルルのチャイナタウンは最高に好きでした。
    ローカルなハワイの雰囲気と相まって、時間がまったりと過ぎていく感覚。開け放した店のドアからラテン音楽が聞こえてきたりして、まるで映画「欲望の翼」の中に入ってしまったような?

    …もっとも、これは私が最初にハワイを訪れた、もう30年近く前の印象。チャイナタウンも様変わりしてしまったのかな?とも思います。

    8号サイズのキャンバスにアクリルガッシュで描いています。個展の準備期間は2週間だったので、早朝に集中して描いていました。撮った写真には、人は入っていなかったのですが、プラスしました。イメージ通りの後ろ姿の写真を探すのにちょっと苦労した覚えがあります(手持ちの海外の写真集のポーズを参考にしました)。

    当時撮ったチャイナタウンの写真です。まだフィルムでした。だいぶ退色してますね。
    背の低い、古い建物が並ぶストリートが独特な雰囲気でした。

  • 《オリジナル作品アーカイブ #4》”lazy afternoon”

    2004年、恵比寿の「Good Honest Grub」というカフェで小さな個展をしました。この時はタブローの新作は2点くらいで、そのなかの1点がDMにした絵でした。
    全作描き下ろしじゃない展覧会での新作って、私はつい紹介し忘れてしまう…ので、今回はこちらの絵をピックアップしました。

    絵にしたアパートは、ハワイのアラモアナの外れで撮った写真がもとになってます。アラモアナって「巨大ショッピングセンターがあるとこ」ってイメージだけど、そこを少し離れると夕陽がきれいに見える公園があったり、郊外ぽい雰囲気が漂っていました。そういう「ふつう」の町中の、簡素なこじんまりしたアパートの佇まいが好きです。アメリカ映画やドラマでもこんな感じの建物(コの字型だったり中庭があったりもする)はよく登場しますが、ちょっとヤバい人が住んでいることも多いですね。

    だから、というわけじゃないけど、ここに描いた人物は映画「ジャッキー・ブラウン」のブリジット・フォンダを思い浮かべながら描きました。ハワイの写真には、人物は写ってなかったのですが、プラスしました。

    8号サイズのキャンバスにアクリルガッシュで描いています。
    展示は6月だったので、夏に向かうワクワクした気持ちで描いたように記憶しています。

    まぁ、夏だからって、私には特別なイベントがあるわけでもないし、海にも山にも行かないけど…そして昨今の酷暑を通り過ぎた命に関わるあの暑さ。現実ではうんざりしてしまう季節かもしれないけど、それでもやっぱりイメージの「夏」は永遠に輝いているように思います。そして、それを追いかける気持ちはこの先も消えない気がするのです。

    夕暮れどきのアラモアナ・ビーチパーク。
    滞在中、いちばんきれいな夕陽が見れたのがここでした。

  • 《お仕事アーカイブ #8》「フラナリー・オコナー短篇集」装丁イラスト

    久しぶりに今回は「お仕事アーカイブ」です。過去の仕事のなかから、今また見ていただきたいものをピックアップしてご紹介しています。

    で、「フラナリー・オコナー短篇集」の装丁イラストです。
こちらはブックデザイナーさんから、おおまかなモチーフのイメージ(家と木、家と車、南部の雰囲気で、など)とタッチ(筆で描いた線画)の指定があり、それに合わせて描きました。
    私はモノクロイラストを納品し、背景の印象的な赤とブルーはデザイナーさんの指定によるものです。

    *短篇集のあとで、書簡集も同じイメージの装丁で出版されました。

    今私は、翻訳家柴田元幸さんがセレクトした短篇小説集「アメリカン・マスターピース」(戦後篇)を読んでいます。暴力や殺人も登場する、自分とは遠くもあり近くもあるような短篇(頭の中をゴリゴリと刺激され、やっぱり小説って面白いなと感じされてくれる)が、全部で10篇収められていますが、その中にフラナリー・オコナー著「善人はなかなかいない」もありました。

    改めて読み返してみると、この短篇集に私のイラストと装丁デザインが本当にぴったりだったなと感じます。デザイナーさんが私のイラストを最大限に活かしてくださったおかげです。こちらは文庫化もされ、映画「スリー・ビルボード」公開時は、映画中にオコナーの本が登場したことも話題になりました。

    本と一緒に楽しめる装丁。その制作に関われるのは、責任も大きいけれど、やっぱり本当に楽しい仕事だと感じています。

    *それぞれの、扉のイラストも手掛けました。

  • 1963年の紅白歌合戦を見て

    いつか、ひばり、チエミ、いづみの三人娘を描きたい&書きたいと思ってました…って、もったいつけずにサッサと描けばいいんですが。

    先週嬉しいことに、またも「昭和」(38年・第14回)の紅白歌合戦の放送がありました。翌年に東京オリンピックを控えて「未来には希望がいっぱい」という雰囲気に満ち満ちていることにまずは泣けましたが、そう、元祖三人娘(美空ひばり、江利チエミ、雪村いづみ)が揃って登場するのも私には嬉しい見どころでした。(と言いいつつ、すみません、今回はひばりは描いてない)

    私と元祖三人娘との出会いは、池袋の新文芸坐で上映された映画「大当り三色娘」(1957年)でした。宝田明特集の一環で上映されてたのをなんの気なしに見たところ、三人があまりにチャーミングで芸達者なことにブッたまげ、それからDVDで同シリーズの映画「ジャンケン娘」「ロマンス娘」も見て、すっかりファンになりました。
    もちろん、三人がすごいスターだったことは知っていたし、ひばりの活躍はリアルタイムで見てました。でも特に興味を持つきっかけもないまま…だったんですが、若い頃の三人のキラキラのアイドルぶり、それに歌も踊りもめちゃくちゃうまい!ことにびっくりしたわけです。映画のセットも凝っているし、ミュージカル仕立てだったりして、とにかく楽しい、かわいい、夢いっぱい。(昭和30年代のドリーミーさにグッとくるセンサーがある人はぜひ見て!とおすすめしちゃう)

    で、紅白ですね。チエミは司会もこなしつつ「マイ・フェア・レディー」の「踊り明かそう」を、いづみは「思い出のサンフランシスコ」を歌いました。チエミの堂々たる歌いっぷり、全身からにじみ出る明るいムードが大好きです。いづみはダントツでモダンかつスタイリッシュ、まさに「実写版ジュニアそれいゆ」で、眼が離せないくらいキュート。

    昭和30年代のドリーミーさといえば、当時のテレビバラエティ「夢であいましょう」や「シャボン玉ホリデー」も思い浮かびます。これは私がずーっとほんのり憧れ続けている世界のひとつなんですが…第14回は出場歌手のみなさんから、その一端を見せてもらえたような気もしてじんわりと感動しました。応援部隊として、永六輔や黒柳徹子、クレイジーキャッツも登場したりね。

    男性コーラスグループが多数登場するのもよかったな。ダークダックス、ボニージャックス、デューク・エイセス。あと(コーラスグループとはちょっと違うかもだけど)マヒナスターズも。

    イラストはボニージャックスです。ロシア民謡「一週間」が紅白で歌唱されるというのも、今見ると新鮮です。

  • 《オリジナル作品アーカイブ#3》 ”SUNSHADE”

    引き続き、Ben’s Cafeでの個展のことを。と言っても、前回紹介した”Holiday in Hawaii”のことではなく、翌年に開催した”sunshade”という個展のお話です。
    *個展の絵はギャラリーページからご覧いただけます→【オリジナルイラスト】”sunshade”

    「この場所のおかげで絵が描けた!」と思うほどBen’s Cafeが気に入って、”Holiday in Hawaii”終了後、早々に翌年の予約をいれました。作品発表の場としては気楽であることも、カフェとしての居心地の良さも、すべて「描くこと」の大きな助けになると感じていました。

    さぁ、次は何を描こう?そこでまたフッと思い浮かんだのが中学生のころに見せてもらった伯父のアルバム。伯父は戦後間もないころ、東京の米軍将校クラブに出入りしてプロモーターのような仕事をしていました。歌手やダンサーを集めては将校クラブのショーに出演させていたそうです。当時はこんなふうに様々な形で米軍に関わった人、たくさん居たんでしょうね。

    東京でそんなことを続けるうち「沖縄の将校クラブでもやってくれない?」と頼まれ、伯父はチームを組んで沖縄へと馳せ参じ、那覇より少し北上した場所にある「ライカム・オフィサーズ・クラブ」に2ヶ月くらい専属チームとして滞在したのです。その時の写真を写真を一冊のアルバムにまとめていたのでした。(ちなみに、ライカムという地名は今も残っています。)

    家族全員で伯父の家に遊びに来て、夕食もご馳走になったその後、お茶とお菓子などをつまみながら…のタイミングで見せてもらったのを覚えています。アルバムを開くとそこにはエキゾチックな世界が繰り広げられていました。いつも「ここではないどこか」に惹かれてしまって地に足がつかず、現実のクラブ活動とか学校生活にはまるで興味が持てなかったティーンエイジャー時代の私のハートが鷲掴みにされました。

    伯父もどこか浮世離れしている人でーときどきウィンザー&ニュートンのカラーインクなど洒落た画材をプレゼントしてくれたりもしたんですがー「何をしてる人か?」もよく知らない…そんな感じでしたが、そのアルバムを見せてもらって伯父の秘密がちょっと覗けたような気になりました。それもすごく嬉しかったですね。

    そんな鮮明な記憶も、だんだん埋もれて全く思い出しもしなかったのに、「そうだ、あの写真!」とパッと頭の中に蘇りました。あの時空を超えた南国を描きたい。”Holiday in Hawaii”を描いている時はハリー&マックのアルバムが伴走してくれましたが、そこから派生して細野晴臣のトロピカル三部作をこの頃はよく聴いていたので、それも私をエキゾチックなイメージに導いてくれたのかもしれません。

    伯父に連絡を取って事情を話し、アルバムを借りて20年ぶりに見てみると、そこには記憶どおりの世界が私を待っていてくれました。自分の全く知らない場所、現実とはかけ離れているけど「ここに居る気持ちになれるな、これもきっと絵にできるな」と思いました。

    アルバムはすべてモノクロ写真でした。カラーに変換して描くより、このままグレートーンで描いたほうがしっくり来るなと思いました。モノクロの中に見える光と影がとても美しいと感じたので。タイトルの”sunshade”は暑い日差しを遮る日よけ、天蓋のようなものの意味。このタイトルにも明暗、光と影のイメージを込めました。

    苦手と思った人物も、風景と同じ気持ちで取り組むと描けるようになりまた。”sunshade”では絵のサイズはF8のキャンバスに統一して、全部で9枚描きました。このうち半分くらいは人物ありきの絵ですね。DMに描いた女性は松竹ダンシング・チームに所属していたダンサーです。彼女が将校クラブの中庭でくつろいでいる写真をもとに描きました。他にはマジシャンも…これはちょっと不思議な絵かもしれませんが。今だとヘンな分別がついてこういう絵を描くには勇気がいるかな(笑)?当時はノリノリで描きました。実際にショーの色物として出演していた当時売れっ子のマジシャン李彩氏です。

    アルバムを借りた時に、伯父からさらに当時の思い出を聞くこともできました。戦後8年、まだまだ豊かとは程遠い東京とは別世界で、食事にはわらじみたいな大きなステーキやアイスクリームが出てくること、敷地内のレストランの階段脇には天然のペパーミントが群生し、夜は良い香りを放ちそれはそれはロマンチックだったこと…などなど。

    この個展中に、雑誌「イラストレーション」が取材に来てくださり、「風景を描く人」の一人として特集ページに登場させてもらいました。”Holiday in Hawaii”の時には「誰も見にこないし」とちょっとハスに構えていましたが(じっさいは有難いことに多くの方が見に来て下さった)「まさかこんなふうに取り上げてもらえるとは!」と、とても嬉しかったです。
    もちろん、伯父も見に来てくれました。伯父はこの時だけでなく、個展の時はいつも来てくれましたっけ、応援してくれてたんだなぁ。

    最後に、最近描いた晩年の伯父の絵を。7年前に旅立ってしまったけど、あちらに行っても近くに感じる人のひとりです。

  • 《オリジナル作品アーカイブ#2》 ”Holiday in Hawaii”

    さて、前々回のブログで「久保田麻琴を聴いていた時期と重なる」と書いた個展のことを、今回は紹介します。

    2000年に高田馬場のBen’s Cafeで開催した”Holiday in Hawaii”という個展。もう20年以上前なんて、改めてびっくりですが…この個展がまとまった数の風景を描くきっかけとなり、その後のイラストレーターとしての仕事につながっていったので、自分の原点だと思っています。

    *個展の絵は、ギャラリーページからご覧ください →【オリジナルイラスト】”Holiday in Hawaii”

    この個展の前は「なんとかイラストが仕事になるように!」との一心で、人物イラストを試行錯誤で描いていました。「仕事になりやすいのは人物イラストだから、これがうまく描けなきゃダメだ」と思ってたんですよね。スタイリッシュ(…は苦手だけど、それを目指して)な女性イラストを描いて、女性雑誌に売り込みに行ったりしていました。でも私には「おしゃれ」なイラストはとても難しい…無理を重ねて描いても、「これこれ!私の絵、見て見て!」というところまでいかない。うー、せっかく描くならもっと自分らしい絵が描きたいのに…と、長い間モヤモヤしていました。

    そんな時に、友人が個展をするというので訪れたのがBen’s Cafeでした。店名どおりニューヨーク出身のBenが経営するそのカフェはすごく居心地が良く、いっぺんで気に入りました。ブルックリンのカフェみたい!外国の匂いが大好きな私はワクワクしてしまうような、ざっくりとおおらかでオープンな雰囲気。後で知ったけど、カフェは詩のリーディングイベントなども開催する「場」でもありました。

    友人ののびのびした画風ともよく合っていて「ここ、すごくいいね」と話を聞くと、展示するカフェの壁は無料で貸してくれるとのこと。これはいい機会かも!と、友人を介してギャラリーの担当の人に会い、とんとん拍子で私もそこで個展をやらせてもらうことになりました。ただ、けっこうな急展開で、個展準備期間は2ヶ月くらいしかありませんでした。

    そんな短い期間で、方向性も何も決まってないのに大丈夫?いや、その時は不思議とあまり心配にはならず、とにかく新しいことをやってみたいという気持ちが勝ちました。で、何を描こうかな?と考えていたときに、ふと別の友人が「前、ハワイの写真見せてもらったよね、あれを描いたら?」と、すごく気楽に(他人事という感じでふわーっと・笑。それがよかった)言ってくれ、それが引き金となりました。あぁ、風景画か…うん、いいかも!

    ハワイに行ったのは、その時から遡ることさらに4年前。まさか絵に描くことになるなんて夢にも思わず、テキトーに目につく風景を撮った写真があったのです。ハワイはその時が初訪問でした。ヨーロッパ贔屓のオリーブ少女くずれ(?)だった私は「ハワイなんて」とちょっとバカにしつつも友人たちとワイワイ訪れたのですが…すみません、ハワイのすべてがショックを受けるほど琴線に触れました。甘くてノスタルジックな空気と、風と、乾いた風景、それが明るい茶色のフィルターを通して見るような独特の色に感じられ、とにかく心地よかった。

    なので「ハワイの絵を描いたら?」の一言に、ぱーっと目の前が開けたように感じました。おもしろそう、きっといい絵が描けそう、と確信が持てたのです。
    試しに…と、それまで使ったことのないアクリルガッシュでキャンバスに描いてみると、思ってもみなかったような、自分でも好きな絵が描けました。筆を動かしたら描けてしまったという感じ。

    まず、キャンバスにアクリルガッシュを塗る、それ自体が「絵を描いてる」という感覚で気持ち良かったです。キャンバスに絵の具が乗っていく感覚、筆の感覚が楽しい。あと、アクリルガッシュの特性として、いくらでも上から塗り重ねて修正が効く、というのも性にあってました。私は失敗にビビるので「いくらでも描きなおせる」という気楽さが最高でした。最初の絵を仕上げて「えぇ?描けちゃった!絵って不思議、面白いな〜」と、まさにキツネにつままれたような感覚でした。だって別段、こういう絵を描こうと研究したり試作を重ねたりしてたわけじゃなかったんですから。(この最初の絵は、トップ写真のDMの絵です)

    その後は、ひたすらこの楽しさを持続させることに注力しました。その心持ちの基盤となったのが「ギャラリー場所代がタダ」ということです。はい、ここでも「気楽さ」。これに助けられるんですねぇ、私は(と、いまさら再発見)。肩の力を抜いて取り組めたのが本当に有り難かったです。この「どうせタダだし、誰も見にこないし」という前提のおかげで終始楽しく描けました。「誰も見にこない」というのは、ちゃんとしたギャラリーじゃない(って言いかたはBen’s Cafeに失礼ですね、スミマセン)から、仕事関係の人に必死にプロモーションとかしなくてもいい、って意味です。「ここで展示したところで、誰も何も私に期待してないし」っていう…「戦う場所じゃないんだから好きに遊べばいい」って感覚でした。

    なので、仕事を一切意識せず「好きなものを好きに描こう」と、それだけを思って進めました。「枚数も揃わなくてもいいや」とも。だから、描いていてちょっとでも苦痛になったらすぐ筆を止めよう、と。でもこれも幸せな逆効果で、どんどん描けたんですよね。

    結局、全部で20枚近い絵を描きました。写真にあるように、大判(850㎜X660㎜)の額に合わせた大きい絵も何枚か仕上げました。これは厚紙にジェッソを塗ったものに描きました。広い部屋も無かったので、キッチンの床に新聞紙を広げて、そこに直接紙を置いて描いてました。これも楽しかったなぁ。「広いアトリエっていいな」と妄想することもあるけど、この原体験があるから「ま、どこでも絵は描けるサ」って基本、思ってます。大きい絵以外はF6〜F8くらいのサイズのキャンバスがメイン。今でもこのサイズが変わらずやっぱり描きやすいです。

    自分で言うのもなんですが、よく描きましたね。当時はギャラリーで働いてもいたし、どう時間をやりくりしたんでしょう…若かったから(←それなりに)できた、と言えばそれまでですが。思い返すとあんなふうに絵を描けた2ヶ月間は奇跡のように感じられます。

    そして、そこで描いた絵が雑誌「イラストレーション」の公募コンペ「ザ・チョイス」で入賞して、仕事のきっかけとなった話は、前にこのブログにも書きました。

    
*《お仕事アーカイブ#1》モスバーガー

    さて、このBen’s Cafe。残念なことに、もう何年も前に建物自体も無くなってしまいました。ついつい思い出話、ノスタルジックな昔話になってきちゃいましたが…「またあんなふうに絵が描けたら、もうそれだけで何もいらない!」と、最近たびたび思うのです、ちょっと本気で。

    ↑これは、個展に来てくれた人へのお礼状として作ったポストカード。Ben’sCafeのテラスから見るカフェ向かいの家の門と、マンションです。個展期間中はカフェに入り浸り、この風景が友達みたいになりました。たしか、この家もマンションも、今はもう無い…と思います。

  • ラジオ番組「テイスト・オブ・ジャズ」で「教養としてのジャズ」特集

    先日、2月23日に放送されたラジオNIKKEIの「テイスト・オブ・ジャズ」では、私がイラストを担当した単行本「教養としてのジャズ」を取り上げ、監修の村井康司さんがゲスト出演されました。

    そしてなんと!村井さん、編集者の池上信次さん、番組パーソナリティーの山本郁さんのお三方が、イラストにもたくさん触れてくださいました。

    「ジャズミュージシャンの似顔絵がチャーミングでよく似ていて」「似てるだけじゃなくてスタイルのある絵で」…と、嬉しすぎるお言葉の数々…😭✨そして「じつは、楽器も、ものすごくちゃんと描いている」と、そこを褒めてくださったのにも感激でした。(アルトサックスなど、構造が複雑で描くのに少し苦労したのでした)

    すみません、嬉しすぎて自分の話ばかりまくしたててしまいましたが、本の魅力が伝わり、ジャズがもっと知りたくなる素敵な30分でした。本のキーとなるジャズもたっぷりかかりましたよ。ぜひ、タイムフリーで聴いてみてください。

    ↓radikoタイムフリーはこちらからどうぞ↓
    テイスト・オブ・ジャズ | ラジオNIKKEI第1 | 2025/02/23/日 19:00-19:30

    ↓ギャラリーページで、イラストも一部ご覧いただけます↓
    「教養としてのジャズ」

  • 久保田麻琴を聴くとき

    ピンポイントギャラリーで開催中の「100人展」は、明日(2/22)までとなりました。よろしければぜひお立ち寄りくださいませ。

    というわけで、「100人展」のために描いた、金延幸子の絵はこのブログでも紹介しました。で、その続編ということで、久保田麻琴も描きました。

    金延幸子作詞・作曲の「時にまかせて」ですが、最初にこの曲を聴いたのは久保田麻琴の歌唱で、でした。たまたま出会った「Load to Louisiana」というHarry and Mac(細野晴臣と久保田麻琴)のアルバムの中の一曲として。

    このアルバムを繰り返し聴いていたのは、個展の絵を描いていた時期と重なります。2000年に「Holiday in Hawaii」という、ハワイの風景で構成された個展を開催しました。この個展で初めて風景をまとめて描き、それが仕事につながっていったので、私のイラストレーターとしての第一歩とも言える展示となりました。
    そんなこともあり、久保田麻琴の声を聴くと当時の広々とした気分を思い出します。好きに絵を描くってこんなに楽しいのかと思いながら毎日個展のための絵を描いていました。縮こまってしまった時には、思い出したい気持ちです。
    先日、ラジオで高橋源一郎も「触れると、必ず元に戻れるような小説や映画や音楽がある。枯れた水が湧き上がってくるような」(←大意です)と話していました。すごくわかります。私にとっての久保田麻琴もそんな大事な存在です。

    個展「Holiday in Hawaii」は、次回のブログで紹介しますね。

  • 1969年の紅白歌合戦を見て

    さささと楽しみのために描いた絵も、ときどきこちらに載せます。

    先日、NHK(地上波)で第20回紅白歌合戦(1969年)を全編放送していました。69年と聞いて、すぐにこの年のヒット曲が思い浮かぶほど詳しくはありませんが、さぞ歌謡曲が華やかな時代で見応えがあるだろうと録画しました。

    素晴らしかったです。全部で3時間ちょっと、「途中飽きるかな?」と思ったのですが、いざ見始めるとすべてが見どころという感じで目が離せませんでした。めくるめく3時間。
    私が2才の時の放送なのでもちろん覚えてはおらず、「懐かしさ」は全くありません。そんなものよりむしろ、最高に素敵な異国に紛れ込んだような感覚。「なにここ、どこ?うわー!」という感じ。

    で、素敵な国のかわいい人はさっそく描きたくなる♡というわけで、この年初出場の3人を描きました。奥村チヨ、いしだあゆみ、由紀さおりです。

    これまで特に動画サイトなどで彼女(と呼ぶとなんかエラソーですが…便宜上すみません)たちを意識して見たことも無いので、この若い、動く、歌う姿を見たのは初めてです。
    三人三様、それぞれの魅力に酔いました。何回もリピートして見ています。

    それにしても豪華な出演者です。若手からベテラン勢までキラ星のようだし、曲のジャンルも多彩だし、まさにザッツ・エンターテインメント!司会が坂本九というだけでもすごいなぁ、と思っちゃう。総合司会はNHK名物アナウンサーの宮田輝。この名調子が聞けたのも貴重でした。

と、こんな調子でいくらでも感想をだらだらと書き連ねたくなるけれど…越路吹雪が若手に合わせて踊ってるとか、菅原洋一やフランク永井の歌のうまさとか、応援コーナーで三遊亭小圓遊さんが見れたとか、感動ポイントは数え切れませんが…それはまた、別の機会に。

  • 《オリジナル作品アーカイブ#1》 ”Loser’s Paradise in Brookioyn 〜ここには孤独な夢はない〜”

    このブログでは過去の仕事も紹介していますが、同じように、これまでに開催した個展で描いたオリジナルの作品も改めて紹介していこうと思います。

    第一弾の今回は2014年にタンバリンギャラリーで開催した「Loser’s Paradise」です。私と詩人で出版社主宰の佐藤由美子さんの二人展という形での展示でした。

    個展作品はこちら→【オリジナル作品 二人展 “loser’s paradise”より】

    タイトルの「Loser’s Paradise」とはつまり…負け犬たちのパラダイス。負け犬なんていうと自虐的だけど、負け犬、敗者と呼ばれるかもしれない人々が、自分の人生を力強く取り戻す…そんな意味が含まれています。その「場」の象徴がブルックリン。私と佐藤さんがいっとき、ルームシェアをしたゆかりの場所でもあるブルックリンがこの展覧会の舞台になっています。
    このあたりの経緯は、タンバリンギャラリーに佐藤さんが寄せた文章を読んでいただけたら。

    展覧会についてのコメント→【タンバリンギャラリーホームページ】

    今、改めて読むと10年の時を経て、佐藤さんの言葉がリアルに胸に訴えてきます。これからの世界、アメリカはどうなっちゃうんだろう?と、東の小さな国の自分も固唾を飲んで見ているのですから。

    展覧会では、最初に絵を描き、それに合わせて佐藤さんが詩を書いてくれました。その詩は、二人のユニットcity sticksのフェイスブックページでも読んでいただけます。

    絵と詩の掲載はこちら→ 【city sticks フェイスブックページ】
    (詩画集からのピックアップ、という形で14回投稿しています。)

    リンクが多い紹介になっちゃいましたね。でも、リンク先を見ていただくのがいちばん伝わるかな…と思います。コラボレーションの化学反応が、時間をかけて(ルームシェアしたのは展覧会を遡ることさらに10年以上前、2003年か2004年頃です)実った展覧会でした。

  • ピンポイントギャラリーの「100人展」に今年も出品します

    表参道のピンポイントギャラリーで、毎年この時期に開催される「100人展」。

    お題に沿って、イラストレーターや絵本作家100人が制作した作品がずらりと並びます。私はこちらの企画がスタートした2009年から毎年、出品させてもらっています。

    さて、今年のお題は「時間」。
    私は「時にまかせて」を歌う金延幸子を描きました。

    いつもお題と格闘するのが楽しみなのですが、今年は早々に描くものが決まりました。あ、でも金延幸子ではなくて、全然違う線画イラストにするつもりで…「よし!」とラフを描いてみましたが、何種類か描いてもどうもピンとこない。こういうふうに、頭の中ではバッチリ仕上がってるのに、いざ形にしようとすると「あれれ?」ということ、時々あります。うーん、どうしようかな。

    それから数日経って、玄関掃除をしているときにふと「時にまかせて」のメロディーが頭のなかを流れたんです。金延幸子が歌っている様子も(動画などでも見たことはありませんが)。それで描いたのが今回の絵、というわけです。

    「時にまかせて」を最初に聴いたのは久保田麻琴バージョンでした。Harry&Macのアルバムに収録されているのを聴いて、いいなぁ、と。そこからオリジナルの金延幸子のことも知りました。

    この絵を描くにあたって、いろいろな写真を見ました。美しい方です。アメリカ在住だけど23年には来日公演もあったんですね。聴きたかった。次の機会があればぜひと思っています。

    「100人展」、お近くにお越しの折は、ぜひお立ち寄りください!

  • 「ちーずのつぶやき」、インスタもやってます。

    ブログで以前、お仕事アーカイブとして紹介したこともある「ボンマルシェのつぶやき」。これも含めたエッセイ&イラストの「ちーずのつぶやき」を年明けから専用のインスタアカウントにアップしています。

    エッセイは作家の関千里さんが手がけられたもの。それに私が応える形でイラスト(と、イラスト内に私の一言つぶやきが入ってるのもあり)を描きました。

    過去ブログに「ちーずのつぶやき」とはなんぞや?を載せてますので、よかったらそちらもご覧くださいね。  

    *お仕事アーカイブ6 「ボンマルシェのつぶやき」

    アップしてる記事は2010年から2018年(途中お休みあり)の間に作ったもの。初回はまだまだ出たてのTwitterの話題だったり、時間を経て読むとまた違った味わいで面白いなと思ってます。それで、インスタではさらに私が今思うことをコメント欄でつぶやいたりしてます。

    全部で100回とちょっと、週休2日くらいでアップしています。ぜひ、フォローして読んでいただけたら嬉しいです!

    ちーずのつぶやき(@tsubuyaki_chi2) • Instagram写真と動画

  • 描き初めは大滝詠一

    2025年の描き初めはこちらの絵でした。

    とあるプロジェクト(?)のために描いた大滝詠一です。油彩で、サイズは0号。はがき2枚ぶんくらいの小さい絵です。

    今年2025年は「ナイアガラ・レコード」50周年とか。スペシャルな音源のリリースとかイベントなども、きっと色々と企画されていることでしょう。私も、今年も変わらず折々のタイミングでナイアガラの音楽に触れたいと思います。と言っても、ひっそりと家でCDかSpotifyで聴くの専門ですけど(笑)

    そうやって、お気に入りの小説を何回も読み返すように聴くのが楽しいなぁ、って思うんです。その時々で聴こえかたも違うし。一生聴き続けると思います。

    そんな大滝詠一の似顔絵は、仕事でけっこう描いてきました。いずれも雑誌「レコード・コレクターズ」の特集ページに掲載されたものです。

    制作物のページにも載せいていますので、下記リンクからぜひご覧くださいませ。↓
    【「ミュージック・マガジン」のナイアガラの仕事 その1 その2

    ちょっと気持ちが沈んでいる時…いや、それ以上にどうしようもなく下を向いてしまう時も、これまでどれだけ音楽に救われてきたことでしょう。「楽器は絶対に裏切らない、一生の友達」という言葉を、たしか伊丹十三のエッセイ集「女たちよ!」で読みましたっけ。楽器だけでなく、音楽もそうだなーって年を重ねるとなお思います。

    今はジャズが私の中では新しいし、ピーター・バラカンさんのラジオ番組で出会って「おおっ♡」と好きになる音楽もたくさんありました。生きてる間はさまざまな音楽に出会えると思うと幸せです。イーチ・オータキももちろん、これからもよろしくね。

  • 明けましておめでとうございます

    明けましておめでとうございます。

    今年は「描く年」にしたいです。この先も長く、描いたり作ったりし続けられたら何より幸せ。それが皆様に届けられますように頑張ります!

    …と、まずは新年の抱負です。んー、ちょっと肩肘張ってますかね(笑)でも、張り切って宣言できるのもこの機会ならではということで。寒くてちょっと猫背気味の背中を伸ばしながらこれからの1年に思いを巡らしています。

    さて、年末に描いたこちらの絵は、10年前に行ったベトナムの風景です。ホイアンという町のはずれを昼下がりに散歩した時に撮った写真がもとになっています。のんびりと時間が過ぎていく感覚とともに、ぬくぬくとした懐かしさに身を委ねた場所でした。

    こんな風景画も、線画も、はたまた他のタイプの絵も?楽しんで挑戦していく所存です。
    今年もどうぞよろしくお願い申し上げます。