久しぶりのブログ投稿になってしまいました。
5月末からの個展、6月末のサロンイベントと展示が続き、ふだんとはかなり違う時間の過ごし方が続きました。新しいチャレンジ続きでワクワクで過ごした時間(イラストレーターにとってはまさに「ハレ」の時間ですね。ありがたし)から、ようやく地上に戻りつつあります。
ハレの時間を埋めるように、ブログも引き続き更新してまいります。
まずは5月の個展のことから。
個展のオファーをいただいてから、開催日まで約2ヶ月でした。準備期間はそんなに無い…それなら「いつもと違うことを」と思いました。
これまで展示するタブローに関しては「私が描きたい風景」を描くのがいちばん!と疑わずにやってきましたが、そうだ、今回は「私じゃない誰かさんの見た風景」を描くのもおもしろいかも!
そこで、開催会場の「サンブンノイチギャラリー」主宰の黒川さんの好きな風景の写真をお借りして描くことにしたのです。黒川さんはたくさん海外を旅行していらしゃる、そこで出会った忘れられない風景は?と旅のエピソードも含めて取材し、2点を絵に仕上げました。
「どうしてこの風景に出会ったのか」「どんなタイミングでこの場所に居たのか」「この風景のどこが特に好きか」などの話を聞いて、行ったことない場所を自分の頭の中に構築していく作業はとても面白かったです。もちろん、仕事でこのような作業には慣れていますが…よりパーソナルな事情を聞けることで、風景もよりクッキリ鮮やかに見えるようでした。
そうして描いた絵はこちら。 対比できるように写真もいっしょに載せます。


早朝、ミュンヘンに着いた電車の車窓から見た風景だそうです。展覧会で掲示した黒川さんのコメントをそのまま引用すると
「フィレンツェで友人たちと別れ、一人で寝台列車に乗ってミュンヘンへ移動したことがあった。早朝に窓のカーテンを開けたとき、街並みを予想していた私の目に飛び込んできたのは、緑豊かなローカルな風景の中にある小さなサッカー場。まだ誰もいないグラウンドの中にプロを目指して練習する子たちの姿が浮かび上がり、思わずシャッターを切ったのでした。」
いわば「草野球」ならぬ「草サッカー」のほのぼのした光景。それが伝わるように、写真には無かったサッカー場のラインを絵には入れました。それがちゃんと見えるように、写真よりも俯瞰した目線に調整しました。そして朝の空気が伝わるようにと意識しながら描きました。
この絵を見た黒川さんが「これは、まさに私があの時見た風景ですね!」と言ってくださり、とても嬉しかったです。心の中でひそかにガッツポーズ(笑)
もう1枚はこちら。


モロッコにシャウエンという、至るところが青で埋め尽くされた町があるそうで、その町のプールです。
黒川さんはホテルの部屋のからこのプールを見下ろして、写真を撮ったとのこと。
楽しそうな家族と、「普通なら“青い”プールは珍しくないけれど、そのプールまでもシャウエンの青に染まっていて、それが印象的だった」というエピソードを生かせるように構図を考え、青に浸るような気持ちを絵に込めました。
こうやって描いた2枚の絵はいずれも、自分がこの場にいたとしても、たぶん絵にしようとは思わないであろう風景を描いたものです。でも、描いてみるとすごく面白かったです。ひとの目を通して自分の頭の中に映し出される風景。これは今後、私の得意分野のひとつになりそうです。
