そんな鮮明な記憶も、だんだん埋もれて全く思い出しもしなかったのに、「そうだ、あの写真!」とパッと頭の中に蘇りました。あの時空を超えた南国を描きたい。”Holiday in Hawaii”を描いている時はハリー&マックのアルバムが伴走してくれましたが、そこから派生して細野晴臣のトロピカル三部作をこの頃はよく聴いていたので、それも私をエキゾチックなイメージに導いてくれたのかもしれません。
この個展中に、雑誌「イラストレーション」が取材に来てくださり、「風景を描く人」の一人として特集ページに登場させてもらいました。”Holiday in Hawaii”の時には「誰も見にこないし」とちょっとハスに構えていましたが(じっさいは有難いことに多くの方が見に来て下さった)「まさかこんなふうに取り上げてもらえるとは!」と、とても嬉しかったです。 もちろん、伯父も見に来てくれました。伯父はこの時だけでなく、個展の時はいつも来てくれましたっけ、応援してくれてたんだなぁ。
金延幸子作詞・作曲の「時にまかせて」ですが、最初にこの曲を聴いたのは久保田麻琴の歌唱で、でした。たまたま出会った「Load to Louisiana」というHarry and Mac(細野晴臣と久保田麻琴)のアルバムの中の一曲として。
このアルバムを繰り返し聴いていたのは、個展の絵を描いていた時期と重なります。2000年に「Holiday in Hawaii」という、ハワイの風景で構成された個展を開催しました。この個展で初めて風景をまとめて描き、それが仕事につながっていったので、私のイラストレーターとしての第一歩とも言える展示となりました。 そんなこともあり、久保田麻琴の声を聴くと当時の広々とした気分を思い出します。好きに絵を描くってこんなに楽しいのかと思いながら毎日個展のための絵を描いていました。縮こまってしまった時には、思い出したい気持ちです。 先日、ラジオで高橋源一郎も「触れると、必ず元に戻れるような小説や映画や音楽がある。枯れた水が湧き上がってくるような」(←大意です)と話していました。すごくわかります。私にとっての久保田麻琴もそんな大事な存在です。