仕事

  • 「ラテン音楽入門」のイラストを担当しました

    「ゼロから分かる! 聴けば聴くほど、楽しくなる ラテン音楽入門」(世界文化社刊)の表紙と本文イラストを担当させてもらいました。
    去年、同シリーズの「ジャズ入門」を担当し、今回は「ラテン音楽」です。

    ラテンに心躍る瞬間は、たぶん子供のころから無自覚に体験していたのでは?と思います。幼稚園で張り切って歌ってた「♪バナナン、バナナン、バナナ♪」の曲(「とんでったバナナ」という曲名でした)も、ちょっとラテンぽい(かな?)し、「ザ・ピーナッツ」の「南京豆売り」も聴くたび、わくわくしました(もちろんリアタイで聴いたわけじゃないですけど)。

    「日本人のDNAにはラテンが組み込まれてる」なんて言い方もよく聞くし、ラテン風味の歌謡曲は数え切れないし、とっても身近なラテン。その豊かで幅広い音楽の海がこの本の中には広がっています。

    本文ではラテンミュージシャンたちの似顔絵もたくさん描いています。誰もが個性的で濃い!これは描いていてめっちゃ楽しかったです。

    「映画で旅するラテン音楽の世界」のページでは「ブエナ・ビスタ・ソシアル・クラブ」もピックアップされています。私はジェニファーロペスが「テハーノの女王」と呼ばれたセレナを演じた「セレナ」とい映画が見たくなりました。

    「ジャズ入門」と同じく、Spotifyのプレイリストもついています。ぜひ本を片手にラテンの世界を楽しんでいただけたらと思います。

  • 《お仕事アーカイブ#10》小説挿絵(雑誌「ダ・ヴィンチ」より)

    今回もお仕事アーカイブ。過去の仕事の中からピックアップしてご紹介します。

    書籍情報を扱う雑誌「ダ・ヴィンチ」2014年7月号の「本VSカレー」特集内に掲載された読み切り小説「カレー失踪事件」(中島京子著)の挿絵です。カレーと本が絶妙にからみあうミステリーでした。

    カレーって、物語(小説、まんが、映画など)に登場するとものすごく美味しそうに感じます。カレー以外でも、全体のストーリーはすっかり忘れてるのに食べもの登場シーンだけは忘れられない、ってことはよくありますよね。

    そういう食べものって、特別な料理とか高価な食材とかじゃなく、すごく平凡でありきたりのものの場合が多い気がする。高級お寿司なんかより、カップヌードルを食べてる主人公のせいでお腹が空いて、うらやましくなったりしませんか?

    こちらの小説「カレー失踪事件」でも、カレーを作る描写がとてもおいしそう。イラストがそのイメージ作りの一助を担えていたら嬉しいです。



  • ラジオ番組「テイスト・オブ・ジャズ」で「教養としてのジャズ」特集

    先日、2月23日に放送されたラジオNIKKEIの「テイスト・オブ・ジャズ」では、私がイラストを担当した単行本「教養としてのジャズ」を取り上げ、監修の村井康司さんがゲスト出演されました。

    そしてなんと!村井さん、編集者の池上信次さん、番組パーソナリティーの山本郁さんのお三方が、イラストにもたくさん触れてくださいました。

    「ジャズミュージシャンの似顔絵がチャーミングでよく似ていて」「似てるだけじゃなくてスタイルのある絵で」…と、嬉しすぎるお言葉の数々…😭✨そして「じつは、楽器も、ものすごくちゃんと描いている」と、そこを褒めてくださったのにも感激でした。(アルトサックスなど、構造が複雑で描くのに少し苦労したのでした)

    すみません、嬉しすぎて自分の話ばかりまくしたててしまいましたが、本の魅力が伝わり、ジャズがもっと知りたくなる素敵な30分でした。本のキーとなるジャズもたっぷりかかりましたよ。ぜひ、タイムフリーで聴いてみてください。

    ↓radikoタイムフリーはこちらからどうぞ↓
    テイスト・オブ・ジャズ | ラジオNIKKEI第1 | 2025/02/23/日 19:00-19:30

    ↓ギャラリーページで、イラストも一部ご覧いただけます↓
    「教養としてのジャズ」

  • 描き初めは大滝詠一

    2025年の描き初めはこちらの絵でした。

    とあるプロジェクト(?)のために描いた大滝詠一です。油彩で、サイズは0号。はがき2枚ぶんくらいの小さい絵です。

    今年2025年は「ナイアガラ・レコード」50周年とか。スペシャルな音源のリリースとかイベントなども、きっと色々と企画されていることでしょう。私も、今年も変わらず折々のタイミングでナイアガラの音楽に触れたいと思います。と言っても、ひっそりと家でCDかSpotifyで聴くの専門ですけど(笑)

    そうやって、お気に入りの小説を何回も読み返すように聴くのが楽しいなぁ、って思うんです。その時々で聴こえかたも違うし。一生聴き続けると思います。

    そんな大滝詠一の似顔絵は、仕事でけっこう描いてきました。いずれも雑誌「レコード・コレクターズ」の特集ページに掲載されたものです。

    制作物のページにも載せいていますので、下記リンクからぜひご覧くださいませ。↓
    【「ミュージック・マガジン」のナイアガラの仕事 その1 その2

    ちょっと気持ちが沈んでいる時…いや、それ以上にどうしようもなく下を向いてしまう時も、これまでどれだけ音楽に救われてきたことでしょう。「楽器は絶対に裏切らない、一生の友達」という言葉を、たしか伊丹十三のエッセイ集「女たちよ!」で読みましたっけ。楽器だけでなく、音楽もそうだなーって年を重ねるとなお思います。

    今はジャズが私の中では新しいし、ピーター・バラカンさんのラジオ番組で出会って「おおっ♡」と好きになる音楽もたくさんありました。生きてる間はさまざまな音楽に出会えると思うと幸せです。イーチ・オータキももちろん、これからもよろしくね。

  • 「教養としてのジャズ」のイラストを担当しました

    昨年発売された「ゼロから分かる!知れば知るほど、面白い ジャズ入門」の続編とも言える新刊「教養としてのジャズ」(世界文化社)が発売になりました。今回も、私が表紙と本文のイラストを担当させてもらっています。

    「教養」という言葉が付くと、少し難しく感じてしまうでしょうか?じっさいはそんなことはなく、ジャズの歴史を10年で区切りその時代を象徴する1曲から、影響を与え合ったりつながりがあった曲やミュージシャンがチャートとともに解説されている章があったり、楽器くくりの章があったり、そうそう、他のジャンルへのジャズの影響についての章もあり、興味深いです。笠置シヅ子しかり、美空ひばりしかり、日本の歌謡曲とジャズも切っても切れないですよね。とても理解しやすいようにまとめられています。

    今回もジャズプレイヤーたちのイラストを描きました。前回よりもごつごつした線で、色数をしぼって、シックな雰囲気にしました。

    ジャズって、理解が深まればよりいっそう楽しくなるのは間違いない。私もまだまだジャズファンひよっこですが、これからもついていきます。SpotifyプレイリストへQRコードからとべるのも前回同様、すばらしいです。

    こちらは表紙とまえがきページに添えられているイラスト。自分で気に入っているイラストです。

  • 「紅葉狩り伊勢うどん」

    先日ラジオから童謡の「ちいさい秋みつけた」が流れてきて、思わず聴き入ってしまいました。改めてじっくり耳を傾けると、なんて良い曲なんでしょう…。この曲を聴けば、誰もが幼いころに触れた秋の匂いや色を思い出すんじゃないでしょうか。

    最近は秋が短いけど、それでも探せば秋ならではの楽しみはまだまだたくさんありますね。まずは「待ってました!」の実りの秋。私も毎日、新米をホクホクといただいては「生きててよかった」と幸せを噛みしめております。

    空の色ひとつとっても突き抜けるような青から夕暮れの淡いピンクまで「こんなのタダで見せてもらえるなんてラッキー」(←毎度ケチくさい)な美しさだし、木々は色を変えて鮮やかに街を彩ってくれます。銀杏の黄金色なんて思うだけで胸がすくようです。

    …というわけで、やっと来ました(笑)、今回は「紅葉狩り伊勢うどん」の絵をご紹介します。
    「ちいさい秋みつけた」のひっそりした秋の趣とは違って、こちらは賑やかでワイワイ楽しい秋です。



    
「紅葉狩り」は、8月のブログに載せた「お花見伊勢うどん」の続編として描きました。「お花見伊勢うどん」はもともと展覧会のために描いた絵でしたが、「伊勢うどん友の会」がポストカードにしてくださり、「春があるなら秋も」と声をかけていただきました。
    *facebookグループの「伊勢うどん友の会」はこちらです→「伊勢うどん友の会」

    秋は、春で登場した動物を何匹か再登場させました。「春は一人旅で来ていたきつねのお嬢さんは、伊勢が気に入り移住した」、「うさぎのお母さんは伊勢に友達ができて、その友達に会いに半年ぶりに遊びに来た」なんていうストーリーも考えたりして。

    春と同じく、ピクニックのお弁当にも伊勢名物を取り入れました。猫の前のいわしの丸干し、それと、うさぎが乾杯してるのは伊勢のクラフトビールです。

    そしてこの絵を眺めながら、「ちいさい秋みつけた」との共通点をひとつだけ発見。絵にも歌にも鳥の「もず」が登場しています。描くときに「ちいさい秋」はまったく意識していなかったので、たまたまですが…。

    秋を楽しみましょう!

  • 《 お仕事アーカイブ #6 》 「ボンマルシェのつぶやき」

    先週のサザエさんのイラストについて「長谷川町子さん本人が描いたみたいでびっくり」との感想をいただきました。やったー、嬉しいです。これを描いた時は、サザエさんや「うちあけ話」をめくって、町子先生絵柄を研究(っていうと大げさだけど)しましたっけ。

    で、サザエさんの絵を描くきっかけとなった「ボンマルシェのつぶやき」を今回はご紹介します。

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    「ボンマルシェのつぶやき」は、朝日新聞の折込ページ「Bon Marche ボンマルシェ」に、2010年4月から2015年の6年間に渡って連載されました。作家の関千里さんが文章を書き、それに私がイラストをつけました。月1回のペースだったので全64回。

記念すべき第一回がこちらです。(おとなりがマロンさんのレシピページですね。毎回おいしそうでした。)

    タイトルに「つぶやき」とあるように、関さんのお話は、人生の曲がり角にさしかかったお年頃世代…つまり「私たち世代」の日常的な「あるある!」を鮮やかに切り取ったエッセイだったので「そうそう、そうなのよ〜!」と膝を打つ気持ちで毎回イラストを考えていました。私と関さんは同世代なので、そのあたりの感覚は共有しやすかったです。

    「ギャラリー」のページにも、いくつか掲載していますが、そこには無いイラストもここでいくつかアップしますね。
    *ギャラリーページはこちらからご覧ください → 「ボンマルシェのつぶやき」

    (上段イラストはギャルママを描いています。ただいま朝ドラで絶賛登場中の「ギャル」、2012年当時もギャルママは元気です。)

    連載期間中には東日本大震災もあり、そちらに寄せた回もありました。6年間って思い返せば長いですね。それでも「もう少し、2人で作り続けたいね」という思いから、連載終了後2年くらいの間を空けて、こんどはブログという形で「つぶやき」を続けることにしました。題して「ちーずのつぶやき」。「ちさと」と「ちあき」の2人の「ちー」がつぶやく、という意味のタイトルです。こちらは週に1回の更新で、これまでの朝日新聞の連載と、新しく制作したものと、交互にアップしていきました。

    ブログにアップする新作から、イラストに私の一言も添えることにしました。言ってみれば関さんと私との間の交換日記みたいな感じでしょうか(交換日記というのも今は通じないか)。

    そんなわけで「ちーずのつぶやき」には、朝日新聞連載ぶん全部と、新作が56回ぶん全部読めるようになっています。ぜひぜひブログで続きを見ていただけたら嬉しいです!上のイラスト6点はどんなお話からできたものか?答え合わせしてみてください。

    *ブログ「ちーずのつぶやき」はこちらからご覧ください → 「ちーずのつぶやき」

  • 「ゼロから分かる!JAZZ入門」の繁体字版ができました

    このたび表紙イラスト、本文イラストを担当した「ゼロから分かる!JAZZ入門」の台湾の出版社による繁体字版ができました。

    左が通常盤、右が博客来(台湾最大手のネット書店だそうです)限定カバー、内容は同じです。

    カバーも本文もレイアウトは日本版オリジナルとは違いますが、イラストは同じものが掲載されています。

    日本版はこちら。好評で三刷だそうです!

    そうそう、ちょうど、「ニューオリンズ行進曲」を読みはじめたタイミングで繁体字版が届きました(私が関わってる本というわけじゃないですよ・笑)。いちどは訪れたいニューオリンズ!私自身、もっとジャズと仲良くなりたいです。末長く気楽にネ。

  • 《 お仕事アーカイブ #5 》 どうぶつイラストあれこれ

    前回取り上げた「赤玉ジャパン」のナビゲーターの猫、「にゃぱん」は着物だけじゃなく、ぬか漬けも得意。張り切ってレクチャーしていました。「へー、ぬか漬けってそうなんだ!」と感心して見てるのは「ワンくん」。
    こういった動物のイラストもあれこれ描いてきたなーと、今回は動物イラストをいくつかご紹介します。

    動物を擬人化して描いた最初の仕事はこちらでした。雑誌「ミセス」の「眠り」特集です。眠りと言えば羊…で、編集者さんから「羊が主人公になって、ベッドメイキングをしていたりするのをイメージしてます」とうかがい、ラフのやり取りをしつつ相談しながら作ったページでした。改めて羊を調べると、種類もたくさんだし…どう描こうか?と試行錯誤でしたが、それも楽しみつつ進められた仕事でした。

    肌が黒い羊にしたのは、そのほうが誌面で映えそうだったから。自分から黒い羊を描いて提案しながらも、打ち合わせで「あ、でも…黒い羊がシーツ触ってたりすると、不潔な感じがしますか?」と少し遠慮がちに聞いたら、「あはは、関係ないですよー、そんなこと言ったら、動物が触ってる時点で不潔じゃないですか」と、笑われましたっけ。(ホッ。。。)

    こちらは、教育雑誌の挿絵に描いた「狼と7匹の子やぎ」の挿絵。

    「鳥獣戯画」がテーマの企画展のために描いた「お花見伊勢うどん」。どうぶつがいっぱいです。「伊勢うどん友の会」のキャラクターのたぬきといっしょに、鳥獣戯画に登場するうさぎ、かえる、きつね、さる、を描きました。へびや亀は単に私の好みです。

    メインじゃないけど、動物が目をひくことになったイラストもあります。この「赤ずきん」も企画展のために描きました。絵を購入してくださった方が「襲うはずの狼が、見守ってるみたいでウケる」とおっしゃってたそうです。気に入ってくださったのはすごく嬉しいけど、「そうか、ほんとはもっと怖く描くべきだったかな…」とちょっと反省したり。

    ヘビもイグアナも好きです。「ガラパゴス」と聞いて反射的にイグアナが思い浮かび、そこから絵のイメージができたのがこちらです。

    動物を描くのは掛け値なしに楽しいし、じつは人間よりずっとリラックスして描けるのです。なんでだろう?と少し考えてみたんですが、私は人間に「かわいい」要素を盛り込むことに照れ臭さがあるような気がしました。動物ならうんとかわいく描いても許されるように感じるのかも…ということは、私は「かわいい」がもっと描きたいのかもしれません。

  • 《 お仕事アーカイブ #4 》 「赤玉ジャパン」に書いた、着物のしくみ

    映画の中の着物に惚れぼれした後は、着物のしくみのことも少しお話したい…というわけで、友人が主宰していた「赤玉ジャパン」という海外旅行者向けサイト(日本文化の紹介がメイン)のために書いた記事とイラストをこちらに再掲させてもらいます。「にゃぱん」という猫がナビゲーターでがんばってます。

    着物って合理的で無駄がないのも、私が着物好きな大きな理由です。仕立て方といい、着方といい、すべてにおいてすごくすっきり、腑に落ちる感覚がある。着物を畳むのなんて、もはや快楽と言ってもいいくらいです(ぱたぱたと折り畳むと、どれもほぼ同じサイズのペラっとした長方形になる気持ちよさったら!)。
    そんな気持ちを、またまたアツく語った一編、よろしければお付き合いください。

    *赤玉ジャパンのサイトはこちら

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    ふだんはジーパンを愛着してるけど着物も大好き!そんなにゃぱんが、着物のいろはをレクチャーします。
    着物って、実際に手に取って着てみると、何枚もの長方形の布から出来てるのがよく分ります。こんなふうに(図1)反物を裁断して、縫い合わせてるんですね。女性の反物のサイズはだいたい、幅が37~38センチ、長さが12~13メートルあります。身長170センチくらいまでの人なら、これで一着作れます。

    仕立てる時は、もちろんサイズ(背の高さ、腕の長さ、ヒップ)を測るけど、洋服ほど厳密じゃないんです。なぜなら自分にピッタリのサイズじゃなくても、着るときに調整できるから。裾の長さを調整するには「おはしょり」という独特の方法があります。くるぶしよりも長く余ってる裾を、ウエストのあたりで折り畳みます。じゃあやバストやヒップサイズは?それも大丈夫!着物は巻き付けて着るので、太ってる人は巻き込む量を少なく、やせてる人は多くすればノープロブレム。(図2)

    もちろん、ピッタリのサイズで作れば無理なく着れるし、きれいなのですが、多少のサイズ違いはどうにでもなる!のが着物の魅力のひとつだとにゃぱんは思います。

    そのうえ、ほどきやすい縫い方をするので縫う前の状態に戻すのも簡単。サイズ調整をしながら縫い直しができるようになってるんですよ。だから、おばあちゃんの着物でも100年前のアンティークの着物でも、現代の人がリメイクして楽しめるわけ。これってすごく合理的!

    多少の違いはあれど、着物の仕立て方は男女ともほとんど同じ。デザインはずーっと変わりません。その代わり、着物や帯にする布の種類や色、柄のバリエーションはものすごく多種多様。日本各地に、その土地それぞれの名産とされる布があるんですよ。にゃぱんはいつか日本各地の布の織元を訪ねる旅をしたいなーと思っています。

    さて、こんなふうに直線的に作られてる着物なので、収納もらくらく。ハンカチみたいに四角くコンパクトに畳めて重ねてしまえるからかさばりません。畳んだ折り目は縫い目に沿ってるので、にゃぱんの嫌いなアイロンがけの必要も無し!広げてすぐ着れます。これもなんて合理的なんでしょう。

    単一的な形の着物だけど、ちょっとした着こなしの違いで、同じ着物でも全然違って見えるのも面白い。ここでセンスが問われるニャ!と、自分なりの工夫を重ねるうち、どんどんその魅力にハマっちゃうわけです。身にまとうと現れる立体感や動きに合わせて自由自在に変わる形は、浮世絵などでもおなじみです(図3)。

    着物ならではの季節感あふれる模様やきまりごとなど、おしゃべりしたいことはまだたくさん。それはまた次の機会に・・・

  • 《 お仕事アーカイブ #3 》 オリジナルカレンダー

    お仕事…というと語弊があるのですが。こちらは、2020年新春にご年始がわりにお配りしたカレンダーです。オリジナルの絵をリソグラフ(ガリ版と同じ方法のデジタル印刷)で印刷しました。前回、「iPadだと気負いなく描ける」という話をしたので、その延長をもう少し。

    こちらの絵は、もともとラフスケッチとして描いたものでした。
    トランジスタプレスの佐藤由美子さんが出版を予定していた「グーテンベルクの夢」という本の挿絵として、雨のニューヨークの風景を1枚描くことになっており、そのために3枚のラフスケッチを描きました。これは選ばれなかった2枚のうちの1枚のラフスケッチです。

    鉛筆でざっと描いただけのラフですが、佐藤さんはこれを見て「田上さんの鉛筆のラフっていいですよね」と、採用されなかったラフ2枚も本(出版前の試作本)の中に掲載してくれました。

    私には「本番として仕上げたもの以外をおおっぴらに見せるのは恥ずかしい」という思いがあるのですが、そういえば、以前も別のデザイナーさんから「鉛筆ラフもいい」と言われたっけ…と思い出し、恐る恐る「たまにはこういうのも!」と作ったのがこちら、というわけです。

    B5サイズくらいのラフを、A3まで拡大すると、鉛筆の線の勢いが際立ってなかなか面白い仕上がりになりました。リソグラフは色が使えるとのこと、せっかくなのでスミ線と同じ線を黄色にした版も作り、少しずらして印刷しました。

    鉛筆で本番を描くこともありますが「これが最終仕上がり」と思うと、どうしても力が入りがち…その反面、ラフは当然ですが、線自体に失敗も成功もないのでその点は気楽です。なんの気負いもなくざざっと描いた線が気持ちいい。

    本番でこんなふうに描くシリーズもやってみたいな…というか、いつかは本番もラフも下書きも、区別なくなるのが理想なのかもしれません。

  • 《 お仕事アーカイブ #2 》 ドゥ マゴ パリ カフェメニュー(ブックレット)

    前回に続きメニューの仕事の紹介です。
    こちらは2021年の「Bunkamura ドゥマゴパリ祭」に合わせて制作されたブックレットです。

    前回紹介したモスバーガーの仕事から20年。画材の幅が広がり、こちらのイラストは全てiPadで描きました。

    クライアントさんからの要望としては、細かな部分までリアルに伝えるというよりはイメージ的なもののほうが良いとのこと。オシャレな雰囲気も出したいですね。ざっくりとラフな感じで仕上げることになりました。


    手順としては、まずカフェで実際のお料理(フードと言うほうが一般的でしょうか)の写真を撮影させてもらい、それをもとにイラストを描きました。(料理の姿カタチや質感をより実感を持って把握するために、他の一般的なステーキやサラダなどの写真も参考にしました。)
    
ラフスケッチ、下書きから本番まで、ほぼiPadひとつで進めました。ちなみに、撮影させてもらった食事は全部、立ち会ってくれたクライアントさんと分けっこしながらとても美味しくいただきました。

    

iPadで描くといいことのひとつが、すごくラクに描けるということです…あ、この「ラク」というのはもちろん手抜きという意味ではなく、気分が楽でリラックスして描けるという意味です。失敗してもやり直しが簡単ですからね。お皿の丸い線をグルッと思い切って描けるのはiPadならではです。丸い線を描くのって私は苦手で、筆だとどうしても線が震えます(それが良い、というケースもありますが)。
    やり直しがきくと言っても、無限に直してるとだんだん仕上がりイメージがぼんやりしてしまうので、そこはしゃきっと。数回描いてその中でいちばん良いのを採用するようにしています。

    紙に水彩で描く場合(透明水彩を使い、あまり重ね塗りをしない描き方の場合)、絵の具のにじみや重なり具合は完全にはコントロールできません。もちろん、だからこその魅力は大きいし、偶然の要素も含めた仕上がりを優先する仕事もあります。(この場合も何枚か描いて良いのを選ぶことが多いです)
    ただ、このメニューに関しては、iPadでざくざく描くほうがより自由で印象も強いものに仕上げることができると考えました。

    このワインなど、かなりざっくりと描いています。ワインは必須オーダーではなく、「あれば楽しいかも」と打ち合わせの時に話をしたくらいのものでした。それも気負いなく描けて採用され、ブックレット全体がとても良い仕上がりになりました。クライアントさんからも喜んでいただけ、評判が良いと伺い嬉しかったです。

    カフェメニュー(ブックレット)にも掲載されているカフェのテラスのイラストは販促用のトートバッグにもなりました。グリーンの色の部分は、私がグレーで塗った部分を、ドゥマゴオリジナルのグリーンをデザイナーさんが色指定しました。こちらのトートバッグも好評で、パリ祭の後、秋のワインイベントの際に増刷されました。

    ドゥ マゴ パリのオープンは1987年。「パリ本店以外の初の海外1号店!」と、オープン時の華やかな評判はよく覚えています。雑誌「オリーブ」の表紙にもなりましたっけ。若いころは背伸びしてお茶しに行く場所でした。Bunkamura内の映画館「ル・シネマ」や美術館「ザ・ミュージアム」を訪れた後は「ちょっと贅沢してドゥマゴでお茶しようかな」と立ち寄ることもありました。鑑賞後の余韻とパリに憧れる気持ちが相まったときめきを思い出します。

    そのBunkamuraも2023年に現在の場所はいったんクローズになりました。これから先、あのパラソルの下でくつろぐ都会のオアシスが同じ形で登場することは無いのでしょうか…。寂しいけれど、その姿を描く仕事ができたことはとても幸せでした。

    ドゥ マゴ パリは場所を変え現在は「Bunkamura ル・シネマ 渋谷宮下」内で営業中とのことです。

  • 《 お仕事アーカイブ #1 》モスバーガー トレーマット

    ブログが新しくなった機会に、これまでの仕事のことも少しずつ書いていこうと思います。

    ホームページに載せる画像を整理しながら「そういえば、この仕事の時は…」と思い出しつつ「ひとつひとつの仕事のこと、これまで具体的に書いたことってなかったな」と。
    こちらの記事で、私がどのように制作したかを知っていただく一助になれば幸いです。

    1回目は「モスバーガー トレーマット」です。


    こちらはイラストコンペ「ザ・チョイス」に入選した私のイラストを見てくださった制作会社の方から依頼をいただきました。
    「ザ・チョイス」は雑誌「イラストレーション」主催の誌上イラストコンペ。イラストレーターの登竜門的な存在であり、たびたび挑戦するもなかなか入選に辿り着けない数年を経てやっと入選したのが2000年のことです。その時の入選作がこちら。藤田新策さんの審査の回でした。


    ハワイで撮った写真をもとに風景画を描いて個展(Holiday in Hawaii)を開催した直後で、個展のために描いた絵をそのまま応募しました。風景画をまとめて描いたのはこの個展が初めてで、それが思いのほか、自由に好きに描けたので「この絵ならもしかして」と手応えを感じつつ応募したことを覚えています。

    さて、モスバーガーの仕事。のびのびと好きに描いた絵が入選して、それが仕事にも繋がった!というのは想像を超えたとても大きな喜びで、それまでもイラストの仕事はしていたのですが、このとき「ようやくスタートラインに立てたのかも」という気持ちになりました。そんなわけで、これはとくに忘れられない仕事なのです。

    面白いのが、サラダやゼリーを描くきっかけとなった入選作に特に食べ物など描いていないところです。デザイナーさんからは「あの絵のような爽やかさが欲しいです」とリクエストをいただきましたっけ。夏らしさと、爽やかさ…それを感じていただけての依頼とは嬉しい限りです。しかし、改めて思えば、デザイナーさんも勇気がいったことと思います。仕上がりの具体的なイメージは無いうえでの依頼なのですから。

    コンペ入選作はキャンバスにアクリルガッシュで比較的こってりと描いたのですが、メニューは水彩でさらりと描いています。画材や仕上がりイメージについても、ラフスケッチの段階でデザイナーさんと共有し、やりとりをしながら進めました。

    さらりと描きすぎると、伝えたいディティール(コーンフレークやフルーツ、チキンなど食材の質感)が伝わらないので、水彩で描いた上から、ところどころ色鉛筆で細かな陰影やタッチをつけました。「爽やか、涼やか」と同時に「おいしそう!」なのも、言うまでもなく大事ですものね。

    下地になっているスケッチブック、フードはひとつひとつ別々に描き、原画をそのまま納品し、スケッチブック上のイラストや文字のレイアウトはすべてデザイナーさんにお任せしました。スケッチブックのブルーの影などけっこう繊細だったのですが、これもちゃんと再現されていて、仕上がりの実物もとてもきれいでした。(ちなみに描き文字は私のものではありません。涼やかな文字ですね。)

    モスバーガーのマットは目にしていただく機会も多かったため、知人から「見たよ」と言ってもらうことも多く、また、この仕事をきっかけに「食材、料理、メニュー」などの仕事もたびたびいただくようになりました。

    私は食べることが大好きなので、食事にまつわる仕事は楽しく、得意な分野のひとつです。
    実物に忠実に、そして実物以上に…と言いますか、写真には無い表現がプラスできるのもイラストならではの魅力だと思っています。それは食材やメニューが持つ雰囲気(この場合は爽やかさ、涼しさ)や美しさ、おいしさなど。「つるん」や「サクサク」「ふわふわ」などをリアルにイメージしながら描くと、それが美味しい要素として絵に反映される…と信じています。

    そしてこちらの仕事から20年以上が経った今、メニューイラストの画材はiPadを併用することも多くなりました。より細かいタッチもつけることができるようになりましたが、基本はやはり手描きです。100%アナログ以上にアナログらしい魅力や効果が出るように心がけつつ、お腹を空かせながら描いています。

  • 「嘘の真理」のイラストを担当しました

    単行本「嘘の真理(ほんと)」のイラストを担当しました。
    嘘のほんと…興味をそそられるタイトルです。こちらは、哲学者である著者が小学生に向けて行った講演会をまとめた一冊。

    表紙と、本文の扉ページにイラストが使われています。

    イラストは、いずれも本の中に登場する「嘘」のシーンです。その嘘をどんなイラストにするか…と考えるところから楽しい仕事でした。
    ちなみに、この上の本文イラストは、「友人から自分のデッサンの感想を聞かれたとき、あまり上手じゃなくても上手だと答える」という嘘です。
    自分にとっても馴染み深いデッサン室を思い出しながら描きました。フランスの本なので、登場人物もフランス人に見えるように心がけました。

    こちらは、「お父さんが飛行機の翼につかまって旅行している」という嘘。子供の嘘だからってわけじゃないけど、突拍子なくて笑ってしまう。こういう感覚をカラッとした、ちょっとおしゃれな印象になるようにと心がけながら描きました。


    ブックデザインは森裕昌さん。イラストを効果的に使ってくださり、本自体もとても素敵な一冊です。カバーを外したところもこんなに可愛いのです。ぜひお手に取ってご覧ください!

    「嘘の真理」 ジャン・リュック・ナンシー 柿並良祐訳 講談社選書メチエ le livre